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大阪高等裁判所 昭和44年(ラ)423号 決定

抗告人 榎本光男(仮名)

相手方 榎本道子(仮名)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣旨及び理由は別紙のとおりである。

抗告人は、さきになされた大阪家裁昭和四一年(家)一二〇八号婚姻費用分担の審判における事実認定を非難し、また相手方に長男春男を監護せしめるべきである旨主張するけれども、婚姻費用分担の審判変更の申立は、さきになされた審判を前提とし、審判確定後に生じた事情変更を理由とするものであるから、右主張の事実はいずれも右審判を変更すべき事由となし得ないものである。右審判の事実認定についてはさきになされた審判に対する即時抗告において主張すべき事柄である。また、別居中の夫婦間における子の監護に関する事項については、当事者間に協議が調わず、協議をすることができないときは、民法七六六条、家事審判法九条一項乙類四号を類推適用して家事審判の対象となし得るのであるから、抗告人主張のように相手方を子の監護者とすべき事情があるとすれば、右審判の申立により解決をはかるべきである。その他本件変更申立を肯定するに足る資料がないことは原審判が説示するとおりである。

更に、一件記録を精査するも、原審判を取消すべき違法がないので、本件抗告を棄却することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 前田覚郎 裁判官 黒川正昭 金田育三)

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